2021/03/22 00:56
▶Agenda
環境省が平成28年に実施した日本全国10地点で実施した漂着ごみに関する調査では、容積別では48.4%がプラスチックごみ、また個数別では65.8%をプラスチックごみが占めるという結果になっています。
(環境省:「資料2ー2 海洋ごみをめぐる最近の動向rev3」http://www.env.go.jp/water/marirne_litter/conf/02_02doukou.pdf)
では、一体どのくらいの量のプラスチックごみが、実際に海洋へ流出しているのでしょうか。
すでに、世界の海に存在しているプラスチックごみの量は1億5000万トン(※1)、さらに約800万トンのプラスチックごみ(※2)が、毎年新たに流出しているといわれています。大きすぎてイメージがつかみづらいですが、ジャンボジェット機の重さが1機あたり約350トン(https://www.ana.co.jp/travelandlife/trivia/vol19/)とのことなので、単純計算で約23,000機分の重さのプラスチックごみが、毎年新たに流出していることになります。
2015年、サイエンス誌に掲載された論文(※3)によると、特に東アジアの国々からの流出が多くなっています。また、日本は全体で30番目に流出量が多く、その量は1年間に2万トンから6万トン、先ほどのジャンボジェット機に例えると、約60機~170機分に相当するプラスチックごみが、この日本からも流出しているという推計となります。
本当に、私たちの国からそんなに多くのプラスチックごみが、海へ流出しているのでしょうか。
日本では年間に約1,000万トンのプラスチック製品が生産され、一方で900万トンのプラスチック製品が廃棄されています(https://www.env.go.jp/press/files/jp/114077.pdf)。廃棄されたプラスチックごみの内、0.2%~0.6%が海洋へ流出している考えると、そのくらいの量が流出していてもおかしくないかもしれません。
日本国内から海洋へ流出するプラスチックごみという観点で考えると、その多くは陸から川を伝って流出するといわれています。その中にはポイ捨てなどの不法な投棄から、強風などの自然現象で流出するもの、また、生活排水などに混じって流出するケースなど様々な要因が考えられます。これら流出したプラスチックは、やがて紫外線や波などの影響で徐々に破壊されて細かくなり、5mm以下の大きさになったものが「マイクロプラスチック」と呼ばれています。
▶03.マイクロプラスチックの私たちへの影響は
プラスチックごみの中でも、取り分け「マイクロプラスチック」が問題視されているのはなぜでしょうか。その背景には、プラスチックが持つ性質と、その小ささ故の生物による誤食が挙げられます。
プラスチックは石油から作られている素材であり、油に似た物質を吸着しやすいという性質があります。海の中には、これまでに流れ出た(現在は禁止されているが過去に使用されていた)汚染物質がすごく小さい濃度で今も残留しており、それらをプラスチックごみが吸着することで海を漂うプラスチックごみには汚染物質が蓄積します。
そして、汚染物質が蓄積した小さなプラスチック片を小さな生物が誤食し、さらに別の生物に食べられるということが連鎖的に起こると、生物の体内で汚染物質が次第に濃縮されていく「生物濃縮」と呼ばれる現象が懸念されています。日本で起きた事例として、メチル水銀が魚介類の食物連鎖によって生物濃縮しそれを摂取した住民に中毒症を引き起こした「水俣病」が知られています。
今のところ、実際の健康被害が生じている訳ではありませんが、海洋へ流出するプラスチックごみの量が今後も減らなければ、将来的に起きるかもしれない重大な懸念です。
プラスチックごみ問題はマイクロプラスチックによる私たち人間への健康被害だけでなく、流出した漁具によるゴーストフィッシングや海鳥、ウミガメ、クジラなどの海洋生物による誤食も頻繁に報告がされています。プラスチックごみの誤食が海洋生物に与える影響は食欲の減退だけでなく、消化器に詰まって死んでしまうというケースもあるようです。
renewでは、そのようなプラスチックごみ問題についてより多くの方々に知ってもらうため、神奈川県の各砂浜・海岸で回収したプラスチックごみを中心にアクセサリーへのアップサイクルを行っています。
海辺に落ちている「汚れた」プラスチック片から、こんなにきれいなアクセサリーに生まれ変わるんだと感じてもらえることを目標に、アップサイクルを行っています。
私たちの活動を通じてより多くの人が問題意識を持つきっかけとなり、また具体的なアクションにつなげて頂くきっかけとなればと思っています。
ビーチクリーンのイベント等も、ぜひご参加いただけますと幸いです。
renew公式オンラインストア:https://renew.base.shop/
※1:McKinsey & Company and Ocean Conservancy (2015)
※2:Neufeld, L., et al. (2016)
※3:Jambeck, Jenna R., et al. "Plastic waste inputs from land into the ocean." Science 347.6223 (2015): 768-771.